地方から上京してきた人にはあまり馴染みがないだろうが、東京の賃貸物件に入居する際は礼金を支払うという慣例がある。これは大家さんに対して、入居審査に通してくれてありがとうございました、という感謝の気持ちを表すためのお金だ。そのため東京で物件探しをするときは、家賃や管理費だけでなく礼金の項目も注視しなければならない。家賃が安く設定されている代わりに、契約時に礼金を家賃の3か月分支払わなければならないケースもあるのだ。
例外として、東京にも礼金が不要な物件が貸し出されている。この場合は、入居後は最低でも2年間は住まなければならない、といった条件がつけられていることが多いので、礼金が不要の物件を見つけた際は契約に付帯する条件を不動産屋に確認することがポイントとなる。
また東京都には賃貸住宅紛争防止条例という独自の規則がある。これは不動産業界で東京ルールとも呼ばれており、賃貸物件から退去する際の金銭負担についての基準が明確に定められているのだ。簡単にいうとこの条例は、退去時に部屋の汚れを回復させるための費用を大家さんの借主のどちらが負担するかについての指針を示している。具体的には日照などによる自然発生的な汚れは大家さんの負担となり、タバコやペットを起因とする汚れは借主の負担となることなどが明記されているのだ。一般的に借主が汚した箇所の回復費用は、敷金から支払われることになっている。そのため敷金が不要の物件があった場合は、借主の負担分をどうするかについてはっきりさせておく必要がある。